修復の技法・技術

全壊住宅の修復

全壊住宅の修復事例

写真は2004年新潟県中越地震により被災し、最大傾斜線で67㎝の沈下を起こした建物です。旧山古志村(現長岡市)の小千谷市側からの入り口に建ち、川に向かって大きく沈下傾斜した建物の行方は多くの人々の目に晒されていましたが、震災後2年近くを経て、地盤擁壁から完全修復されました。

ブログに掲載した対策技術アーカイブ記録(一部)

全壊建物の修復http://blog.livedoor.jp/niigata_sumai/archives/51433885.html

切り盛り地盤に建てられた建築物の修復
http://blog.livedoor.jp/niigata_sumai/archives/51462811.html

足固め(柱脚の拘束)で、倒壊を防ぐhttp://blog.livedoor.jp/niigata_sumai/archives/51649212.html

コンクリートリハビリテーション技術http://blog.livedoor.jp/niigata_sumai/archives/50994110.html

技術情報は、順次入れ替えてまいります。

半壊とされた民家の修復事例

半壊とされた無筋基礎建物の再生など

長年住み慣れた家屋を、自然災害によって突然失われる苦痛は想像を絶するものがあります。 築40年、無筋コンクリートの脆弱な基礎が傾き、床が波打ったように抜けたりした家でも、もし元に戻せたら・・・。 そんな思いに応えた家が新潟県柏崎市で再生させたこの家でした。 罹災判定は「半壊」。

地盤起因の問題解決

2007年7月に発生した新潟県中越沖地震は、砂地盤や軟弱地盤などによる地震動の増幅が被害を大きくした災害でした。 砂地盤では液状化現象も発生し鉄筋の入っていなかった基礎は、バタバタと倒れていましたが、被害のひどいところは基礎を一部更新、ところどころひびが入ったりズレを生じた基礎は増し基礎(=副え基礎)で対応色素を強化。腐朽したり傷んだ土台や柱の入れ替えも行い、安心安全を担保した修復を目指しました。 そして建物をただ元に戻すだけでなく、加齢対応バリアフリー配慮を施した上で終の棲家として化粧直しを実施。40年前のスウィートホームの趣を今に蘇らせて、ご夫妻にお引き渡しすることが出来ました。

建物修復支援ネットワークのブログ : 無筋(鉄筋なし)基礎はこうして直す。 – livedoor Blog(ブログ)

建物修復支援ネットワークのブログ : 守られた40年前のスウィートホーム – livedoor Blog(ブログ)

地盤起因の問題解決

新潟、石川、鳥取など日本海側に多い砂丘地帯とその辺縁部、そして河川だったところを埋め立てられた造成地など、一旦地震が起これば大きな問題となります。写真は2007年新潟県中越沖地震により激しい噴砂を伴った液状化被害にあった柏崎市内の家屋の例です。                    このような被害を受けていても、常在地下水位を下げることによって、また家屋建物直下に非液状化層を一定厚さで形成することで、建物を修復し、同時に再液状化を防ぐことが出来るのです。

地盤補強工事、液状化対策工事、擁壁工事など、建物単体の工事だけでは立ち往かない場合など、出張相談・現地調査業務も行っております。

家の移動(曳家:ひきや)

災害時にかかわらず、文化財など歴史的に価値ある建造物の保全や、道路拡幅などで建物を移動させる必要が生じた場合など、建物を移動させたりします。 これが曳家工事と呼ばれるもので、よく知られた工事としては旧首相官邸(現首相公邸)、JR奈良駅、弘前城などの移動工事が挙げられます。 最近では弘前城において、長年の風雪に耐えつつ建物を支えてきた石垣が沈下したため、それを直す工事が行われたりもしました。

お察しの通り、地震災害、水害あるいは土石流災害に遭った建物についてはこの曳家の技術が生かされるケースが多く、災害時には多くの曳家事業者が被災地で活躍する光景がみられます。 

曳家の技術は建物を横に移動させるばかりではなく、建物をその場で垂直方向に持ち上げ(揚げ家、挙げ舞いなどとも呼ばれます)、基礎をつくりかえたり、地盤補強なども行います。

曳家工事は普段あまり見かけることがないために、金額的には想像もつかないものと思われることが多いのですが、一般的な住宅であればその場での建物上げ下げ(基礎の直し、大工工事を除く)もおおむね200~500万円程度(建物工法・形状、敷地条件などで変動)と、決して桁外れの金額ではありません。

災害に遭って建て替え以外に打つ手はないと大工さんに言われても、それは大工さん自身が災害に遭った建物の修復技法を知らないからとも考えられます。長年住み慣れた愛着のある住まい、歴史的に価値ある建物(ヴィンテージもの)を残し生かすためにも、見逃せない日本古来の工法なのです。

さて説明が後回しになりましたが、これは2004年新潟県中越地震により被災し全壊した建物の修復時に行われた曳家工事の写真です。地震によって盛り土となっていた土地は崩落してしまいましたが、建物はしっかり地山に建てられていたために、辛くも助かりました。 地震後に襲った19年ぶりの積雪により建物は満身創痍の状況には見えますが、この建物のオーナーであるHさんは、家屋修復により住み慣れた地にいち早く戻られ、90歳を超えた今もお元気でいらっしゃいます。

【関連ブログ】 http://blog.livedoor.jp/niigata_sumai/archives/50584863.html

家の建て起こし(躯体修正)

東日本大震災により被災し、大規模半壊と判定された、明治期築の地域を代表する伝統民家の修復。□広い敷地地盤の中で、一部が沈下、それに追随する形で建物が西側に向けて沈下していました。 曳家工事により沈下修正を行っている様子が、写真からお分かりいただけると思います。          古い建物は歳月の経過とともに、また地震や水害などに遭えば不同沈下などの地盤変位によって、床の水平が保たれなくなったり、また建具の開閉ができなくなったり・・・。大工さん単独の手では手に負えない深刻な被害に遭っても、建物の水平垂直を戻して、傷んだ部材を補修する。まさに大工さんと曳家職人の息を合ったスクラムワークによって、建物を蘇らせることができるのです。

調査診断・文化財修理・その他

写真は登録有形文化財となっている、新潟市内の茶室建築の出書院落とし掛けの修復の様子です。 シロアリの蝕害に遭った落とし掛けと呼ばれるこの部材は、ウェハースのようにスカスカになっていましたが、樹脂注入という特殊工事を行うことで強度を回復。 かつての風合いと強度を取り戻して再生されました。 当茶室では建具の骨も各所で小さな部材や骨が折れて失われている状態でしたが、障子の骨接ぎを行うことで、繊細な茶室の佇まいを残すことが出来ました。 技術の細分化、特殊化が進み、それらがインターネットからでさえも容易に探し出すことのできない時代、専門家、職人が縦横に連携をとることでなしえた茶室の修復。 製品製造番号も、欠番も廃版もない、木の職人だからこそこのような修復ができるのです。