ホーム

災害に遭った建物を目にすることは、被災者も、たとえ大工さんであってもそう滅多にあることではありません。 次に起こりうる危険な事態に備えては、「あわてて解体する」のではなく、「正しい応急処置を施す」のが正解です。 正しく処置をして少し落ち着いたなら、つぎに考慮するのは「繰り返される災害に歴史ある建物がどう耐え抜いてきたか? 災害を乗り越えるために受け継がれてきた日本の伝統技術は、最新の建築土木技術は何か?」ということです。 これまでの教訓と歴史に技術を謙虚に学びつつ傷ついた個々の建物を調べてみれば、落胆のなかからも「なるほど」という部分も見えてくるはずです。
わが国の建築文化は災害大国・地震国日本で、自然の道理に寄り添いつつ、すぐれた職人の智慧と手技をあわせ代々受け継ぎながら、多くの先達が築きあげてきたものです。 災害に遭った建物を慌てて解体してしまっては、金銭的価値に置き換えることのできない、貴重な歴史的建造物も、見慣れた街並みも一気に失われかねません。
「危険」「全壊」のレッテルにも負けないように、建物修復の知恵を共有しながら、そこにある暮らしと地域を守る「修復という選択肢」を一緒に考えてみましょう。